時計の部品制作には、いくつかの工程があり、いくつかの技法があります。
その中で、糸鋸、ヤスリ、旋盤を使用した作業をご紹介しましょう。
糸鋸とは、金属のフレームに糸のような鋸歯を張ったもので、主に金属板を切断するために使用する。
習熟すると、曲線や細かな加工も自在にこなすことができる道具である。
彼は時計作りにおいて、受けの切り出し、トゥールビヨンキャリッジの切り出し、その他細かい部品の切り出しなどにこれを使用します。
通常の時計制作に於いては、上記の加工を糸鋸を使用し、手作業で行うことは非常に稀であり、彼の時計がユニークピースである所以と言えるでしょう。
ヤスリとは、棒状の鋼一面に細かい歯をつけたもの。
平、丸、三角、四角、笹葉、半丸、甲丸等の様々な形状があり、目の細かさも段階的に区分されている。
この様々なヤスリを用いて、受けの整形、その他部品の整形、面取り作業を行います。
旋盤とは、工作機械のひとつで、工作物を主軸と共に回転させ、往復台上に固定した刃物を前後左右に動かして、工作物を切削する。
様々なアタッチメントを取り付けることにより、穴あけ加工、歯切り加工なども行うことができます。
旋盤を用いて、地板の切削、穴あけ、天真制作、各種ピン制作、歯車の軸加工等を行います。
このように、ほとんどの部品に彼自身が手を加えることにより、大量生産品にはなし得ない、独自性をもった部品となります。